2009年06月13日

奇想小説集(山田風太郎)


奇想小説集 (講談社文庫)

奇想小説集 (講談社文庫)

  • 作者: 山田 風太郎
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2004/09
  • メディア: 文庫




山田風太郎を読んだ。

まあ、有名なところは、『警視庁草紙』や『甲賀忍法帖』なんだろうが、この「奇想小説集」を図書館で借りたのは、この中に入っている『黄色い下宿人』というホームズものがあったからだ。

話は、文学者クレイグ博士が、隣人であるジェームズ・フィリモア氏が失踪した事をホームズに相談したところから始まる。
ホームズとワトソンがクレイグ博士の家を訪ねると、そこには東洋人の先客がいた…。
この作品で、ホームズはこの東洋人(日本人)に推理上の敗北を喫してしまうのだが、彼こそ留学中の夏目漱石だったという筋である。

しかし、読んでみると、どちらかと言えば正統的な『黄色い…』より最初の『陰茎人』の着想に度肝を抜かれた!

なにしろ、体内の臓器が上下逆についたばかりに、花が股間にあり、男性のシンボルが顔のど真ん中に鎮座するという、マンガにもなりそうもない話なのだ。エロマンガならかろうじて物語になりうるかも知れないが。
 作家の力量が想像力ならば、この文字通りに奇想天外な前提からどうやって話を進めてオワリまで破綻せずに書ききることができるのか?
山田風太郎はやはりすごい。

その他体全体が液体のようにグニャグニャに曲がる女との情事におぼれた男の話(『蝋人』)、人口抑制のために制欲帯の着用と性交時間の制限を政府が義務付ける話(『満員島』)、売春防止法が施行されて、行き場のなくなったモテナイ男のために作られた自動射精機が飛ぶように流行していく話(『自動射精機』)処女を失った女性は額にツベルクリン反応のように丸い輪が浮かぶクスリ「ハカリン」が巻き起こす騒動(『ハカリン』)など、この人しかできそうもない発想の作品ばかりである。

山田ワールドの一端に溺れてみるのも一興かと思いますよ。
posted by とたけけ at 00:00| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | 作家や〜 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月10日

江戸に遊ぶ8(佐伯泰英『死闘!』)


死闘!―古着屋総兵衛影始末〈1〉 (徳間文庫)

死闘!―古着屋総兵衛影始末〈1〉 (徳間文庫)

  • 作者: 佐伯 泰英
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2008/01/05
  • メディア: 文庫





日本橋富沢町に大店を構える古着問屋、大黒屋総兵衛は全国の古着商いを一手に引き受ける富沢町惣代の顔とともに、かつて初代が「神君」徳川家康と交わした約束により、代々隠れ旗本として幕府のために裏の仕事を務める密命を受けて、代々その任務を果たしてきた。

家康の死から85年が過ぎた元禄14年。
現6代目総兵衛が惣代を務める富沢町の古着市にぎわう中、
大黒屋の担ぎ商いの女、そめが無残な死体となって発見されたところから物語は始まる。
そめに続き、同じ富沢町の古着商の駿河屋繁三郎が喉首を斬られた惨殺体で源森川の岸辺で発見された。

何者か大黒屋の存在を快く思わない闇の勢力が大黒屋〜鳶沢一族に襲い掛かってきたのだ。

北町奉行保田宗易、筆頭与力犬沼勘解由、同心遠野鉄五郎、駒込殿中お歌の方、そして大黒屋の権益を狙う江川屋彦左衛門、さらにその後ろには、「御前」と呼ばれる、五代将軍綱吉の下で強大な権力を持つに至った側用人柳沢吉保の影が…

家康から拝領した愛刀三池典太を手に、総兵衛の祖伝夢想流の太刀が血しぶきをあげる…。


江戸の都市づくりが始まったばかりの頃、
全国から集まった浪人や野武士による無法を取り締まるべく、
そうした無頼の男鳶沢某に命じ悪人退治の任務を与えた。
見事にその任務を果たした鳶沢は、家康の許しを得て、
その名を冠した鳶沢町を造り古着商いの権利を与えた。
鳶沢町はその後富沢町と名を変え、古着商いの大市場として大層繁盛したらしい。

このことから佐伯さんが筆を起こしたのが、この「死闘!〜古着屋総兵衛影始末」という書き下ろし小説なんだそうな。

作家の想像力は、江戸の町に表は古着屋、裏は秘密基地を擁した、鳶沢一族のアジトを作り出す。
初代将軍家康の命により代々江戸の治安を影から支えた鳶沢一族と、現将軍綱吉の威光でのし上がった今の権力者柳沢〜松平美濃守吉保との暗闘は、ありそうな話で面白い。

観てきたようなウソをつき…。
時代小説の作者は、人一倍自由な想像力がないと勤まらないなと感じる一冊。
「死闘!」はこのシリーズの最初の一編でこの後も続き第11作「帰還!」まで出たそうな。

言うまでもなく、
佐伯さんはこの他にもドラマにもなっている「居眠り磐音 江戸双紙」や、「吉原裏同心」「夏目影二郎始末旅」など、物凄く多くの作品を書いている人気作家でいらっしゃるわけだが、時代小説に転身する前は全く売れず、30代から作家として闘牛小説や冒険小説を書き始めて、ヒットしたのは57才になってからとウィキで知った時には、「継続は力なり」と言うか、人生いろいろというか…。

現在は西村京太郎先生なみに作品数の多い人気作家になっています。
文庫書き下ろし時代小説だけ書いているそうで、読む方が追いつかないくらい早く作品を書き上げる力は感心するばかり。

いや〜、時代小説って、ホント面白いですね!
posted by とたけけ at 11:05| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(1) | 作家さ〜 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年05月24日

西郷札(松本清調)


西郷札 (新潮文庫―傑作短編集)

西郷札 (新潮文庫―傑作短編集)

  • 作者: 松本 清張
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1965/11
  • メディア: 文庫




最近になって気がついたのだが、
松本清張さんについて書いてなかった。
と、言うか、どれを取り上げて書いたらいいかよくわからなかったから。
学生時代に最初に読んだのは、いきなり長編はキツいから芥川賞受賞作の『或る「小倉日記」伝』の入った新潮文庫の短編集だったような気がする。
今回取り上げようとしている『西郷札』も学生の頃一度は読んだはずだ。
『或る…』が芥川賞、『西郷札』は直木賞の候補になったんだから、松本清張という人はもの凄い広い裾野を持った巨峰のような人だ。
しかし、作家デビューした年齢は41歳。この商売では決して早い方ではない。
しかし、そのデビュー作が『西郷札』
ある新聞社が企画した『九州二千年文化史展』の資料として送られた西郷札という、西南戦争の折、薩軍が戦費調達のために刷られた不換紙幣である。
この西郷札に添付された士族樋村雄吾という男の覚書を紹介する形で、歴史の渦に飲み込まれ人生を狂わされた1人の男の理不尽な敗者としての生き様を描写したものだ。
この表題作の他にも幕末、明治時代、戦国時代、江戸時代という全く違う時代の中で生きる敗者達を主人公にした短編が並んでいる。どれひとつとしてスッキリした解決はなく、ただ、歴史の中で理不尽に人生を弄ばれる小さな存在である人間。切なく、やりきれない話ばかりである。
でも、無駄も理不尽もまた人生の内だろう。
むしろ、人生には無駄や理不尽の方が多いのである。
その敗者を一方で冷たく突き放しながらも、彼らの人生を丹念に記す清張さんの目がどこか優しいから、せめてもの救いになっていると言えないだろうか。
清張さんはその後、さまざまなジャンルのベストセラーを発表し続ける。半世紀近く前の作品なのに、感覚はいつまでも劣化しないままなのは、その作品たちに流れているものが普遍的なものなんだろう。
次は何を読もうかな…
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2009年05月20日

江戸に遊ぶ7(鈴木英治『稲妻の剣』)


稲妻の剣 (ハルキ文庫 時代小説文庫)

稲妻の剣 (ハルキ文庫 時代小説文庫)

  • 作者: 鈴木 英治
  • 出版社/メーカー: 角川春樹事務所
  • 発売日: 2005/06
  • メディア: 文庫




徒目付、久岡勘兵衛が活躍するシリーズ。
書院番という役職の同僚である上田半左衛門と武藤源太郎は長年憎しみ合っていたが、ついにつまらない事が原因で、半左衛門は源太郎を切り殺してしまう。

そのまま逃亡した半左衛門を勘兵衛はなんとか捕らえたが、殺した理由に納得がいかない。
半左衛門の家族は、主人の遺体を引き取ると、墓の前で全員が自殺して果てる。侍のむなしさを感じる勘兵衛。

その頃、江戸に帰ってきた元部屋住の旗本、梶之助は人斬りを重ねる。
なぜ、彼は山崎伝八郎一家、続けて石橋忠兵衛一家と子供に至るまで皆殺しにする。
なぜ、彼は人を斬るのか?何が彼をそこまで追い詰めたのか?

また、些細な事から家を飛び出した、勘兵衛と修馬の友人である左源太はやけになってヤクザの用心棒に身を落としていた…。

簡単に説明できないが、
物語は最後に勘兵衛と梶之助の闘いでクライマックスを迎える。

鈴木英治さんはボクと同い年で期待の新人作家と呼ばれています。
既に多くのシリーズものを発表しており、先々楽しみな作家です。
posted by とたけけ at 01:34| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(1) | 作家さ〜 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年05月14日

江戸に遊ぶ6(宇江佐真理『紫紺のつばめ』)


紫紺のつばめ―髪結い伊三次捕物余話 (文春文庫)

紫紺のつばめ―髪結い伊三次捕物余話 (文春文庫)

  • 作者: 宇江佐 真理
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2002/01
  • メディア: 文庫




廻り髪結いの伊三次は、町方同心不破友之進の下で小者として御用働きをしている。

彼と情を交わす深川芸者の文吉ことお文には、材木商の伊勢や忠兵衛から度重なる援助の申し出があった。それを誤解した伊三次は自分が貧乏である事を拗ね、お文と距離を置こうとする。文に仕える女中のおみつと彼女に心を寄せる下っ引の弥吉…。
その他にも増蔵、松助など…。
宇江佐真理の描く江戸と江戸を生きる人たちは優しくて悲しい。
そして懐かしい。

彼は誤解から惚れた女と別れ、幼馴染の友達を病で失い、仇討ちのために家族も捨てて他に何も見えなくなっている上役の妻を懸命に止める。
けっして完璧な人間ではない、貧乏で、了見も狭く、やきもちを焼いたり、悲しみのあまり何も見えなくなる。親しみやすいキャラクターと言える。

特に2話目「ひで」の主人公で、伊三次の幼馴染じみである日出吉は、花板になる直前まで板前修業をしていたが、材木町の丁兵衛の娘おみよに惚れて、義父の出した条件を飲んで板前を辞め大工の見習いになる。しかし、義父になる親方に叱られへこんだり、それでも耐え続けるが、病に倒れ、世を去る。

祭りの日、神輿を担ぐ男たちの中に伊三次は亡き日出吉の姿を見るのだ。

「ひで!」

作者は、このシリーズに愛着を持っているとの事。
そして、愛する主人公の目を通して「江戸」を丹念に描いていく。
どうです?
江戸時代に遊んでみては?
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2009年05月13日

江戸に遊ぶ5(佐藤雅美『江戸からの恋飛脚〜八州廻り桑山十兵衛』)


佐藤雅美さんは、平成6年第110回直木賞を受賞した文句なしの大衆小説家でいらっしゃる。
1941年生まれと言うから、68歳かぁ。
代表作は新田次郎賞を受賞した「大君の通貨」と直木賞受賞作「恵比寿屋喜兵衛手控え」なんでしょうが、ボクが読んだのは表題作。
八州廻り桑山十兵衛シリーズのひとつで、関東取締出役八州廻りと言う、関東一帯の警察官みたいな役割の桑山十兵衛を主人公にした一連の作品である。

今回の「恋飛脚」は、男やもめだった十兵衛の新しい恋物語に、会津若松松平家と水戸徳川家の間の問題などが絡むもの。

この十兵衛、一見あまりカッコよくない。
でも腕はたつらしい事が後半になってわかってくる。
今回は、熱海で詐欺に逢い、その犯人でもある上総の旧家の出戻り娘・登勢に惚れてしまう。
彼女に逢いたいために、御用を切り上げようとしたり、
登勢に見合い話があったと聞けば、年甲斐もなく拗ねる。
でも、それより大変なのは、この「八州廻り」という仕事だ。
粕壁、小山、今市、熱海、厚木、銚子、茂原…(順不同ですが)
お役目とは言え、関東一円を歩き回る十兵衛一行。
「隠すより現る」では岩槻から越谷に行き、また岩槻に戻り幸手に向かう。そしてまた岩槻へ…といった描写がある。
書くのは簡単だが、歩いて移動した事を考えると大変だね。
ボクならできん。
そして、興味深いのは、この物語中での事件の扱いが結構いい加減な事。
賭場をめぐる小競り合いから、刃傷沙汰が起き、死人が出た。
しかし、刀疵のある死体を検視に出すと事件が江戸の勘定送りになり、村役人やら直接関係ない人間たちまで金がかかる。
だから関係者同士で話をつけ、目をつぶって埋葬してしまおうという事なのだが、冗談じゃないよね。

まあ、いい加減だったという事なんでしょう。

そう言えば、この本、ドラマにもなています。
主演は北大路欣也、彼とともに旅をする粂蔵は寺島進だと。
八話で終わってるから打ち切りかしら?
posted by とたけけ at 23:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 作家さ〜 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年05月12日

江戸に遊ぶ4(本庄慧一郎『吉原白羽舞い 死込人一蝶』)

本庄慧一郎さんは構成作家やコピーライターをやってらしたそうで、
その意味では、読む人のポイントを掴むのは得意なのかも知れません。
放送作家としては本庄一郎という名前だそうで、
1958年から(僕の生まれる前)
ラジオ・テレビ番組の台本・脚本を執筆、
その後コピーライターとしては広告代理店の制作部長を歴任し、
1970年に企画オフィス設立。
現在は(有)望田市郎企画制作室の代表です。
サイトはこちら
http://www.mochi-well.com/index.html

とにかく、この世界では大成功をされた人生の大先輩です。
そんな本庄さんは、1991年から小説家になったそうで、そのうちのひとつがこの「吉原白羽舞い」という作品です。
英一蝶、幇間としての名前は花乃家無一文、
その本名は多賀朝湖、元狩野派の絵師。
犬公方と呼ばれた五代将軍徳川綱吉を批判しあっとのかどで、
何者かの陰謀にかかり、12年間三宅島に流人として暮らした後、
その綱吉の死去にともなう恩赦で江戸に戻ってきた。

現在は吉原にいて、あぶな絵(春画)を描きながら、
その一方悪党をひそかに始末する別の顔を持つ。

絵師としての彼の弟子は小波という何を考えているかわからない娘。
彼の懐刀とも言うべき菊坂丈之介など、登場人物が活き活きと動いている。

最後には一蝶を陥れた仇敵とも言える寺社奉行所の役人木島重友を始末するわけだ。

一種の必殺仕掛人だが、
この一蝶さん、飄々として中々動かない。
少しじれてくるね。

池波作品を読みなれているせいかも知れない。
後、やはり、主人公自らが、卓越した何かを使うわけではないから、少しじれったい。

その役回りは、剣の達人丈之介が受け持っているわけだが。
他にもいろいろ読んでみた方がいいかも知れないと思わせる作品です。
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2009年05月11日

江戸に遊ぶ3(桑原譲太郎『鑑定師右近 邪剣狩り』)

桑原譲太郎と言えば、映画化された「新宿純愛物語」「ボクの女に手を出すな」で知っていたけど、この歳になるまで読まなかった。

この「鑑定師」というのは刀剣の鑑定師である。
筋を書くとこんな感じです。

池ノ端七軒町の長屋に住む嶋右近は、伝説的名刀匠・左文字の末裔として生まれた。父親にその技術を仕込まれる一方で、剣技の習得にも才を見せた。そのため父から勘当されている。そして、現在は刀剣の鑑定師として名をあげている。
同心の奥平八郎や、 旗本柳原伊織といった人間とも付き合いがある。
右近はある日、浅草寺の近くで薄汚い老爺から古錆びた一本を買い求め、 それが名刀・孫六兼元であることを知る。
折しも江戸の町では噂の盗賊・稲葉小僧が世情を騒がせ、残虐な連続殺人が起きるが、 その裏には妖刀村正をめぐる秘密が隠されていた。対馬藩の命を受けた仇敵間垣との最後の戦いに右近の自ら鍛えた剛剣『右近正宗』が唸りを上げる!

この右近という人、変人の朴念仁である。そのくせ女にもてる。

「背が高く、がっしりとした身体は何かの樹を思わせる。肩などは丸太のようだ。何より目立つのはその髷だ。月代などそらずに髪を総まとめにして天に向かって結い上げその先端をばっさりと切った、いわば極太の茶筅髷である。」

高橋英樹の桃太郎侍みたいな頭かね?
要は現代的な風貌のヒーローなわけです。
そして彼に心を寄せる
刀の研師、阿久根一斎の孫娘美代、剣友である伊織の妹志乃の2人の美女。

勝負のためには、相手の顔にツバを吐きかけ、肘に槍を仕込んで不意打ちをする事も厭わないという宿敵間垣。

まあ、桑原さんの作品は少し時代小説っぽくないところがいいかも。
主人公は可愛げがないくらいに朴念仁。
それにしても剛剣 右近正宗はすごいよ。
何たって、『受けた相手の刀を折り、腕も頭も体もずっぱり切り裂いて、相手の体は真っ二つになって倒れた。』ってんだから。

ところで、
そんな桑原さん、既存の出版業界に失望したのか、
自分で直接顧客と向かい合うことを思いつきました。

桑原譲太郎マガジンというんだそうで、
公式ウエブサイトから申し込めるそうです。
http://www.k5.dion.ne.jp/~jo-taro/

リスクのある行為ですけど、
この試みが成功すると出版社は大変だろうね。
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2009年05月10日

江戸に遊ぶ2(宮部みゆき『ぼんくら』)


深川北町にある通称『鉄瓶長屋』で、八百屋の太助が殺された事件をきっかけに、差配人の久兵衛が出奔、地主の湊屋総右衛門が代わりによこしたのは、若い佐吉。
ところが、それからばくち好きの父権吉の借金のかたに売られそうになったお律、隠し子(?)長吉が尋ねてきた通い番頭の善治郎、壷信心が嵩じて八助一家など、長屋の住民は櫛の歯が欠けるように家移りしてしまいます。
最初は結びつかなかった全ての話が後になってつながっていくのは
宮部さんならではの面白さ。
ネタバレになってしまうんだろうけど、
全ては湊屋総右衛門とその奥さんの問題から始まる。

しかし、この手の話はキャラクターで読ませるねえ。
どう見ても、無能な同心井筒平四郎や、煮売り屋のお徳、女郎あがりで気のいいおくめ、何でも測る弓の助、隠密同心の「黒豆」、人間データバンクのおでこ等等…。

宮部みゆきの時代作品はこれが初めてです。
いい作品から読み始めたと思います。
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2009年05月09日

疲れた時には江戸に遊ぶ(池波正太郎『剣客商売』)

昔、読書を始めた頃は、一人の作家で一冊の本、ひとつの作品を選んで読んでいこうと変な決まりごとを作っていた。

なるべく多くの作家に触れたかったからだ。

もっとも、その誓いは、そのうち馬鹿らしい事に気がついて
簡単に破られた。

結果として吉村昭や、西村京太郎や、新田次郎、赤川次郎はけっこう多くの作品を読むことになった。

社会人になってからは、内容の重たい本は疲れてしまうので、
余計に大衆小説に傾倒した。

池波正太郎は、そんな自分にとって何回も何回も読み続けることになる作家の一人であります。

長谷川平蔵、秋山小兵衛、大治郎の親子、藤枝梅安といった、池波作品の登場人物は僕の想像する江戸時代の中で活き活きと活躍し続けている。

時代で言えば、松平定信の下で働いた鬼平より、
その前の田沼時代に活躍した秋山父子の方が時代的には古いと言える。

いや、剣客商売の時代には、鬼平はまだ「本所の銕」だったかも知れない。

秋山小兵衛は、92歳の天寿を全うしたらしい。
当然鬼平の時代も生きていただろう。
息子の大治郎は、田沼意次の娘婿である。
寛政時代には、行きにくかったかも知れない。

…などと考えると面白い。
そのほかにも、池波作品は食事のシーンが印象的だ。
読みながら真田そばとか一本饂飩とか、うさぎ饅頭とか食べてみたくなる。

GW中とて、溜まっていた読書を一気にやってしまおうと思ったが、
やっぱりはじめは池波作品だった。

今回は「剣客商売」の第6巻「新妻」を読んだ。
老中田沼意次の娘で女武芸者だった佐々木三冬が
秋山大治郎と夫婦になるという、
このシリーズでもひとつの山場になる巻である。

でも、池波作品の面白いところは、クライマックスだけじゃない。

『鉢に生卵を五つほど割りいれ、醤油と酒を少々ふりこみ、中へ煎り鴨の肉を入れてかきまぜておき、これを熱い飯の上から、たっぷりとかけまわして食べる。』

こんなところが物凄くおもしろかったりするのだ。

いいなあ、こんな時代も。
posted by とたけけ at 09:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 作家あ〜 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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