2009年05月12日

江戸に遊ぶ4(本庄慧一郎『吉原白羽舞い 死込人一蝶』)

本庄慧一郎さんは構成作家やコピーライターをやってらしたそうで、
その意味では、読む人のポイントを掴むのは得意なのかも知れません。
放送作家としては本庄一郎という名前だそうで、
1958年から(僕の生まれる前)
ラジオ・テレビ番組の台本・脚本を執筆、
その後コピーライターとしては広告代理店の制作部長を歴任し、
1970年に企画オフィス設立。
現在は(有)望田市郎企画制作室の代表です。
サイトはこちら
http://www.mochi-well.com/index.html

とにかく、この世界では大成功をされた人生の大先輩です。
そんな本庄さんは、1991年から小説家になったそうで、そのうちのひとつがこの「吉原白羽舞い」という作品です。
英一蝶、幇間としての名前は花乃家無一文、
その本名は多賀朝湖、元狩野派の絵師。
犬公方と呼ばれた五代将軍徳川綱吉を批判しあっとのかどで、
何者かの陰謀にかかり、12年間三宅島に流人として暮らした後、
その綱吉の死去にともなう恩赦で江戸に戻ってきた。

現在は吉原にいて、あぶな絵(春画)を描きながら、
その一方悪党をひそかに始末する別の顔を持つ。

絵師としての彼の弟子は小波という何を考えているかわからない娘。
彼の懐刀とも言うべき菊坂丈之介など、登場人物が活き活きと動いている。

最後には一蝶を陥れた仇敵とも言える寺社奉行所の役人木島重友を始末するわけだ。

一種の必殺仕掛人だが、
この一蝶さん、飄々として中々動かない。
少しじれてくるね。

池波作品を読みなれているせいかも知れない。
後、やはり、主人公自らが、卓越した何かを使うわけではないから、少しじれったい。

その役回りは、剣の達人丈之介が受け持っているわけだが。
他にもいろいろ読んでみた方がいいかも知れないと思わせる作品です。
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2007年06月24日

「自同律の不快」を感じる時〜死霊





題名だけで、「埴谷雄高」の名前が浮かんだ人は、
ぜひ、いっしょに飲みたいデス。

ボクには読みたいのに読みきれない本というのが何冊かあって、
そのひとつは埴谷雄高の「死霊」です。

結局未完のまま終わった観念小説なんですが、
主人公?の三輪与志、高志の兄弟、首猛夫、矢場徹吾、黒川健吉…。
わからない人にはちっともわかんない。
わかる人にも本当にわかっているのかよくわからない(笑)
この本には象徴的な言葉がいっぱい散りばめられていて、
例えば
「Grad,Sad,Bad,Mad」
「死者の電話箱」
「暗黒速」
「念速」
と言った言葉はそれだけで、謎だらけ。

だいたい、最初の黒川健吉と三輪与志の会話から入っていけない。
ま、それは図書館で読んでみてください。
さて、この小説?の中に散りばめられた意味のわかりにくい言葉たちの中で、ボクの感性に同調したのが「自同律の不快」

これ、ボクの解釈で平たく言うと
「オレがオレである事に感じる言いようも無い不快感」って事。
生物としての存在とは別に、ボクは常に「ボク」を意識することで「ボク」であるわけで、自分が何者?と迷い始めると、突如「ボク」の存在は揺らいでしまうのです。それならば、まだマシなのですが、ボクがボクである事に違和感を感じている状態に陥るとどうなるか?
ボクはもう一つの「ボク」を消そうとするか、それとも「ボク」をより深く理解しようとするか…。

わかんないか…。

そもそも、これだってボクの理解が正しいかわからないしね。
でもわかりやすいものもある首猛夫の「死のう団」とかね。

こんな言葉と観念の迷宮に誘う埴谷雄高の「死霊」ボクの読書も未完のままです。
会社を辞めてから暇な一日中読み続けていたい本。
でも、その頃にはこの本を読む熱意を失っていそうなので、近々またトライしてみようかと思っている次第です。




posted by とたけけ at 01:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 作家は〜 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年04月01日

藤沢周平「用心棒日月抄」




藤沢作品は「暗い」と言う人が多い。
池波正太郎のようにウンチクやいかみの娯楽作品らしい艶っぽい描写はない。司馬遼太郎のような大局観や歴史観みたいなものもない。山本周五郎のように社会に対する強い憤りも感じない。

でも、藤沢作品には他の作家より叙情的なものを感じる。
ユーモアの表現も多いが強すぎず嫌味がない。
映画になった作品が多い。

たそがれ清兵衛(真田広之、宮沢りえ)
隠し剣 鬼の爪(永瀬正敏、松たか子)
蝉しぐれ(市川染五郎、木村佳乃)
武士の一分(木村拓哉、壇れい)

ボクは映画になった作品をスグには読みたくなかったので、
別の本を探してこの「用心棒日月抄」を読んだのだが…いや、面白かった。
この「用心棒日月抄」はファンも多い作品でドラマにもなっている。ボクはNHKでその時代劇を見た。
権力の理不尽とそれに逆らえない侍の厳しさ、さらに市井に生きる町人の逞しさ。
藤沢作品を読むと元気になれる。
今の自分を取巻くものがたとえ厳しくとも。
生きていけばいいと言ってくれる。
posted by とたけけ at 00:34| Comment(2) | TrackBack(0) | 作家は〜 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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