2009年06月21日

ムッシュ・クラタ(山崎豊子)


ムッシュ・クラタ (新潮文庫)

ムッシュ・クラタ (新潮文庫)

  • 作者: 山崎 豊子
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1993/08
  • メディア: 文庫




山崎豊子と言えば…華麗なる一族(キムタクでドラマ化)、大地の子(NHKでドラマ化)、不毛地帯(ドラマ化予定)、二つの祖国(NHKでドラマ化)などなど…長い作品が多く、ドラマで見てしまうと原作を読む気がしなくなると言う訳でもないんだけど、長い作品(分冊化したもの)は、まともに読んだ記憶がない。

この作品集「ムッシュ・クラタ」は、読みやすい短編集であり、解説によれば、山崎豊子さんのほかの作品とは毛色が違うものだそうです。

表題作はフランスを恋人のように愛した一新聞記者の生涯をさまざまな人の証言を組み合わせて浮き上がらせていくというもの。
鼻持ちならないフランスかぶれのオトコから、気骨あるダンディの一面まで積み重なるように浮き上がってくる。

まあ、考えてみれば、文学で書かれる人間像だって、どこか作者の意図をもって切り取られた一面でしかないわけで、最後の最後になって「ふうっ」と軽いため息がでるような作品と言えばいいんですかね?

この他の「晴着」「へんねし」「醜男」といった、この作者にしてみれば短い作品でも、凝縮したような人生がページから飛び出してくるようで、それぞれ興味深かった。

中でも「醜男」は切ない…。

もったいないくらいの美人の嫁さんをもらったことが自慢だった醜男の万年係長が、定年間近になって「目覚めた」嫁に逃げられ、振り回され、たまに来る無心の手紙に嬉々として応じて復縁を迫ってすがり付き、捨てられて(悲しいったらありゃしない)ようやく自分を好いてくれる女に巡り合って立ち直りかけたが、今度は病気になり、死ぬ間際に口に出したのは逃げた前妻の名前。(看取った女にしてみればいいツラの皮だよな)
その前妻からは「最後の」無心の便りが届いていたわけで。
看取った後妻には何も残すことができなかった男…情けなく悲しい人生である。

この他にも、
「晴着」の主人公の(何もいい事がないような)人生も切ない。

「へんねし」では旦那の浮気に耐える一見いい女の裏に隠れた怖さを最後の最後にドーンと見ることになる。

この種の作品もいいよな…。
posted by とたけけ at 07:14| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 作家や〜 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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