2009年12月02日

霞町物語(浅田次郎)


霞町物語 (講談社文庫)

霞町物語 (講談社文庫)

  • 作者: 浅田 次郎
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2000/11
  • メディア: 文庫




浅田次郎の小説は「鉄道員」が最初という話は以前もしたと思います。
「角筈にて」は西田敏行でドラマになったし、「ラブレター」もドラマ化されたっけ。

今回は「霞町物語」
東京と言うところは有機的な町で、刻一刻と生き物のように形を変えて行く。
1年前に公園だったところが、ビルの谷間になったりするし、
大きな百貨店だったところが、何もなくなったりしている。
それはいい事なのか?悪い事なのか?

この霞町という地名はいまだと六本木あたりらしい。
その霞町で青春時代を送る主人公をはじめとした少年達の話。

明治時代の頑固者の雰囲気を持つ江戸っ子の写真家の祖父
元芸者で鉄火肌の美人の祖母
徒弟上がりで祖父に頭の上がらない父
芝居好きで人のいい母
そんな家族の写真館の息子である主人公

勉強は出来る
でも酒もタバコも吸う不良たち

…ぐれているわけではない。
でも、不良っていうんだろうね?
どこかに救いがある良き時代の不良たち。

彼らの服装は「兄貴達から申し送られたとおりに、踊りに行くときはバリっとしたコンテンポラリーのスーツを着、タブカラーのシャツに細身のタイを締め、髪はピカピカのリーゼントで固めていた。」

そんな高校生が女と遊びに青春を過ごすわけだ。
この本の主人公は「時代」だ。
六本木が霞町だった時代。
いずれ無くなってしまう運命の御用写真家という職業。
斜陽化で時代から取り残されてしまう町

浅田さんの目はこの町とこの時代に優しい。

「霞町物語」の明子
「夕暮れ隋道」の真知子
「青い火花」の祖父
「グッバイDrハリー」のドクター・ハリー
「雛の花」の祖母
「遺影」の紳士(祖母の愛人)
「すいばれ」の谷さんなど、浅田さんの目は優しい。
そして、
「卒業写真」、祖父の死をもって物語は終わる。

そう言えばこのシリ−ズの中で、祖父の死は3度ほど出てくる。
各々違う表現で。
この連作を通じた中心人物は主人公と祖父なんだね。

不良の青春物語は、今でもいろいろ本が出て、紹介されている。
「ピカンチ」や「ドロップ」とか、それぞれの懐かしさの味付けで表現され、中には喧嘩もナンパも登場する。

でも、やはり時代が違う。

僕は「ドロップ」ではキュンとはこなかった(苦笑)

文庫本で9ページ目始めと268ページ目に書かれている、
時代の描写が何故か本編よりも胸に残る短編集でした。

ネタばれになるから細かくは書きません。
読んでやってください
posted by とたけけ at 13:43| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 作家あ〜 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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